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情報化社会における自律的観光のあり方に関する研究 : アニメ聖地巡礼者の旅行行動の特質とその課題

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Please use this identifier to cite or link to this item:http://hdl.handle.net/2115/38233

Title: 情報化社会における自律的観光のあり方に関する研究 : アニメ聖地巡礼者の旅行行動の特質とその課題
Other Titles: The Study of Autonomous Tourists in Information society
Authors: 岡本, 健 Browse this author →KAKEN DB
Issue Date: 25-Mar-2009
Abstract: This paper aims to explain and promote the new concept of "autonomous tourist" in modern and information society. This paper suggested that tourists have various types of taste about tourism recently in Japan. This phenomenon was caused by several reasons. One of these reasons is informatization of society in Japan. This phenomenon has prospect of bringing about directly interacted each other between community residents and tourists. This paper discusses about the problem about directly interacted each other between community residents and tourists. In this surrounding what I need to know is the way of building better relations between community residents and tourists. This study uses case study analysis. This case study deals with "Pilgrimage to Sacred Place for Anime Fans". This study is especially focusing Anime Pilgrims' behavior in Sacred Place for "Lucky Star" in Washimiya Town at Saitama Pref. They are mostly young man in their twenties and thirties. They use internet very well to search and get information about Sacred Place, anime and various things. They also put out the information on the Internet. In this paper, this generation is named "Information Tourist Generation". This paper represents that "Information Tourist Generation" is going to play a significant role about building up friendly relations between local residents and tourists. Because "Information Tourist Generation" in Washimiya has some features. For example, they are active, thoughtful, and cooperative. This paper tries to descript the image of "autonomous tourist" based on "Information Tourist Generation" in Washimiya.
本論文では、第1 章で現在日本において観光が国家的な課題となっていることを示すとともに、旅行者の趣味の多様化、個人化によって地域において旅行者と地域住民の直接接触が増加している可能性を示唆した。それゆえに、旅行者と地域住民の関係に関して研究が必要であることを示し、その際に理論的土台として自律的観光の概念が有効であることを示した。ただし、その背景として現代社会では情報化が進展しており、それを踏まえることが自律的観光を考える際に必要であることを示した。また、情報化を背景にして旅行者の趣味の多様化、個人化が進んでいることから、自律的観光を考える際には、旅行者の自律について考えることが必要になることを示した。第2 章では、第1 章で立てた問題を解決するための背景として、1990 年代の旅行情報の利用状況と2000 年代の旅行情報の利用状況についてデータを分析し、現在旅行者はどのような情報環境にあり、旅行行動時の情報収集の方法としてどれほど情報化の影響を受けているかを明らかにした。その結果、20 代男性、20 代女性、30 代男性、40 代男性が、旅行の際にインターネットを多く活用していることが明らかになった。本論文ではこの世代の男性を「旅行情報化世代」と名付けた。第3 章では、第2 章で明らかになった世代がどのような旅行行動をおこなっているのかを明らかにするために、近年新聞や雑誌などで取り上げられているアニメ聖地巡礼についてその誕生と展開経緯を整理するとともに、アニメ聖地巡礼はツーリズムとアニメの潮流の中でどのように位置づけられるのかについて検討をおこなった。その結果、アニメ聖地巡礼は、情報化社会特有の現象である可能性が示唆され、また、アニメ聖地巡礼者がある地域を訪れることによって、その地域の住民との相互作用が生まれ、それが元でまちおこしにまで発展する事例もあることが明らかになった。第4 章では、第3 章で明らかになったアニメ聖地巡礼の特徴が、実際に一つの地域において確認できるかどうかを確認するとともに、新聞や雑誌などには取り上げられてない、アニメ聖地巡礼の特徴を明らかにするために、埼玉県鷲宮町におけるらき☆すた聖地巡礼とその後の展開について、整理をおこなった。その結果、第3 章で明らかになったように、地域住民との相互作用が生まれ、それが元でまちおこしに発展する経緯を詳細に確認した。それだけではなく、アニメ聖地巡礼者は地域住民から「マナーが良い」と認識されていることや、アニメ聖地巡礼者が、当該地域のガイドブックを作製する、ボランティアスタッフとして地域に貢献する、グッズやイベントに企画から参画する、祭りの神輿製作を地域住民と共同でおこなう、などが確認された。つまり、アニメ聖地巡礼者は地域に迷惑をかけないばかりか、地域住民と一緒になって当該地域を活性化する役割を担っていることがわかる。第5 章では、鷲宮神社を訪れる来訪者の中の聖地巡礼者の割合を示すとともに、アニメ聖地巡礼者の動態をアンケート調査などによって明らかにした。その結果、アニメ聖地巡礼者は、「旅行情報化世代」を中心としており、従来の旅行会社に頼った旅行形態は採用せず、自らの興味・関心にしたがって、自分たちで旅をする主体であることがわかった。本論文で展開した議論の結果、情報化社会は観光旅行者が自らの興味・関心に従って旅をすることができる環境を用意し、現在は「旅行情報化世代」がそうした旅を実行していることが明らかになった。それらを踏まえた上で、第6 章では、自律的旅行者のあり方を仮説的に提示した。自律的旅行者は、旅行会社を利用しない、交通手段を選択できるなどの選択の自由をもち、かつ、強力な情報入手能力と、情報発信能力を駆使して、地域を訪れる際には事前に情報を仕入れ、旅行者同士で情報交換をおこない、地域住民に迷惑をかけないような形で行動を取ろうと努力し、旅行を楽しもうとする主体である。また、それは何か外発的な要因によって規定されるのではなく、旅行者が地域住民との気持ちの良い関係や、そこから生まれる心理的報酬を求める内発的動機付けによるものである。第7 章では、今後の展開として、自律的旅行者の萌芽形態である可能性の高いアニメ聖地巡礼者に関して、心理的報酬について明らかにする必要があることを示すとともに、他の地域のアニメ聖地巡礼者も鷲宮町に訪れるアニメ聖地巡礼者と同様の特徴を持つのか、比較・検討を行う必要があることを示した。
Conffering University: 北海道大学
Degree Level: 修士
Degree Discipline: 観光学
Type: theses (master)
URI: http://hdl.handle.net/2115/38233
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Submitter: 岡本 健

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