Abstract:
中国は高速鉄道(HSR)分野において、恐るべき競争相手として急激に台頭し、世界に衝 撃を与えている。HSR産業の新参国であるにもかかわらず、この10年間で同業界においてき わめて急速な発展を遂げた。いまや世界最長のHSR網を誇り、その延長距離は2016年末現在 2万キロメートルに達し、世界の総延長距離の65パーセントを占める。また、自国のHSR機 器を、他国に積極的に輸出するようにもなった。 中国はどのようにして、約10年間のうちにHSRに関する知識がきわめて乏しい後発国から 世界をリードするまでに至ったのか。このような技術の大躍進はどのように説明できるのか。 他の国々は中国の経験からどの程度学ぶことができるのか。これらの質問に対する回答が得 られれば、技術移転だけでなく、世界の富の創出と分配に莫大な影響を及ぼすだろう。