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婦人科がんの治療中にみられる静脈血栓症:当科における診療の現状と臨床的疑問

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Abstract がんと静脈血栓塞栓症(VTE: venous thromboembolism)との関係はTrousseauが1865年に最初に記載してから150年以上が経つ.VTEは深部静脈血栓症(DVT: deep vein thrombosis)と肺塞栓症(PE: pulmonary embolism)から成り,活動性のがん患者における死亡原因として2番目に多い.婦人科がん患者にVTEが多い原因として,がんの...疾病そのものに加えて,高齢,腫瘍による骨盤内血管の圧排,長時間の手術,血栓誘発性の化学療法などが挙げられる.婦人科がん患者においてDVTは11~18%に,PEは1~2.6%に認められる.今回,九州大学病院産科婦人科におけるVTEの診断・治療の現状を調査し,以下の事実が確認された.①婦人科がん症例の9.4%にVTE発症が認められ,外陰癌(25%)および卵巣癌/卵管癌/腹膜癌(20%)における発症率が高かった.②卵巣がん症例のVTEは,組織型毎の発症機序に特徴があることが示唆された.③VTEの発症時期は治療前(39%)や手術後(10%)よりも,化学療法・放射線療法中(51%)が最も多かった.④症状により診断に至った症例は23%に過ぎず,大部分(74%)は定期的なD-dimerの測定やCTの撮像により診断されていた.⑤下腿のみのDVTは全体の49%で,下腿にDVTを認めた症例の18%にPEまたは膝窩静脈より中枢側の大きなDVTを認めた.⑥ヘパリンの持続静脈内投与は58%の症例に行われたが,その他の症例はワーファリンまたはNOACより抗凝固療法が開始されていた.⑦抗凝固療法の主流はワーファリンからNOACに変遷していた.今後はこれらの事実に基づき,新たなVTEの管理指針を策定していく予定である.show more

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Created Date 2018.07.02
Modified Date 2018.07.02

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